ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

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本棚登録 : 3948
レビュー : 319
制作 : Richard P. Feynman  大貫 昌子 
newtongakuinさん 理科   読み終わった 

 2008年、3名の日本人がノーベル物理学賞を受賞しました。同じ物理学者でも三者三様の考え方、性格をされていて、それぞれ印象深いものでした。しかし、世界で最高峰の賞を受賞される方には、ある共通の思いがありました。それは、つねに好奇心をもつこと、物理を楽しむことです。
 
この本は1965年に朝永振一郎とともにノーベル物理学賞を受賞したリチャード・P・ファインマン教授の自伝です。物理学者の著作といっても、難しい数式などは一切出てきません。本書の意図を彼は次のように語っています。「ファインマンと聞いたとたんに思い出してもらいたいのは、ノーベル賞をもらったことでもなければ、理論物理学者であったことでもなく、ボンゴドラムでもマンハッタン計画でもない。僕が好奇心いっぱいの人間であったこと、それだけだ。」その言葉通り、彼のとどまることを知らない好奇心いっぱいのエピソードが軽快な筆致で綴られます。自然科学はもちろん、語学、音楽、絵画、そして金庫破り! つねに、自分で体験しなければ気がすまない性格で、まきおこす成功や失敗にはユーモアがたっぷり含まれています。
 
いたずらすることも大好きで、各章にはかならず、何か悪巧みをしている姿が描かれています。戦時中、手紙が軍からの検閲を受けたとき、無事に手紙を通過させるために、あの手この手を考える場面は、本当に楽しませてくれます。彼にとっては人生すべてが、パズルのように楽しむものなのです。
 
「下から見たロスアラモス」の章は必読です。原爆の製造に関わった体験を上からのお偉い学者からの目ではなく、当時まだ博士号もとっていなかった駆け出しの科学者の視点から書いています。科学者というよりも、押し付けられた雑用を器用にこなしていく姿が印象的です。
 死の数日前、周囲の友人達に「そんなに心配するなよ。それよりみんな大いに人生を楽しんでくれよ。」と語ったのが最後の言葉だったそうです。彼の人柄を偲ばせるエピソードです。

レビュー投稿日
2013年3月25日
読了日
-
本棚登録日
2013年3月25日
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