怪談四代記 八雲のいたずら

著者 :
  • 講談社 (2014年7月24日発売)
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本棚登録 : 74
感想 : 8
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怪談というよりは、ちょっと不思議な因縁譚が中心。「へるん先生」のひ孫である著者の手にかかると、スピリチュアル方面のいかがわしさがほとんどなくて、「ああ、そういうこともあるかも」とすんなり読んでいけるものになっている。

なによりもいいのは、著者が、曾祖父ハーン、その妻セツをはじめとする小泉家の人たちに、心からの敬意とあたたかい愛情を持っていることがよく伝わってくくることだ。こんなにハーンを身近に感じられるものを初めて読んだ。

また、今更ながら、ハーンの「思想」に感銘を受けた。自然と調和した暮らしのありよう、霊的なものがごく自然に生活の中に溶け込んでいるさま、権威主義とは無縁な厚い宗教心…、ハーンがかつての日本人に見いだし、この上なく尊いと認めたものを、今の私たちは失っている。時々ちょっとしたイタズラをなさるらしいあの世のハーンは、どんな顔で今の日本を見ていることやら。

作中に、「境港は妖怪、松江は怪談、出雲は神話の里」というようなくだりがあって、出雲生まれの私は、しみじみなるほどなあと思った。若い頃は早く出て行きたいばかりだった、あの湿った土地柄を、やはり年のせいだろう、懐かしく思い出したりする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・紀行・回想
感想投稿日 : 2014年10月9日
読了日 : 2014年10月9日
本棚登録日 : 2014年10月9日

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