「本の雑誌」で入江敦彦さんが獄中記の一つとして紹介していた。学生時代の友人にディープな花輪ファンがいて、その作品世界の凄さを力説していたものだが、少女まんが育ちのわたしには絵柄がどうにも…ね。なんか匂いまでしてきそうな感じだもの。同じように匂ってきそうな粘ったタッチである諸星大二郎さんは好きなんだけど。はて、その違いは?と考えてみるに、諸星作品はどこまでも「知的」なのだ。土俗的なものに対して、作者はいつも「こちら側」から見ている。対して花輪氏は、「あちら側の人」という気がする。
本書はまったく異色作だ。刑務所に収監されていることについて、「あり得べからざる事が起こってしまった」という感は皆無。「これは表現者としてまれな機会だからネタにしてやろう」という雰囲気も、見事にない。ただ、描いている。徹底的に細部にわたって描いている。解説の呉友英氏が言うように、これはやはり特異な才能の持ち主であるがゆえのビョーキだろう。ただ、本当の意味で「病んでいる」人には、人に読ませるようなものは描けないわけで、そういう意味でも空前絶後と言える。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
マンガ
- 感想投稿日 : 2015年1月21日
- 読了日 : 2015年1月21日
- 本棚登録日 : 2015年1月21日
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