りかさん (新潮文庫)

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本棚登録 : 4428
レビュー : 487
著者 :
nico314さん 梨木香歩   読み終わった 

すっかり梨木さんにはまってしまい、顔なじみの司書さんに『家守奇譚』や『村田エフェンディ滞土録』が「とってもよかった!」と若干興奮気味に力説したら、こちらを勧めてくださいました。

読み始めてみると、やっぱりいい!
リカちゃん人形をねだったようこに祖母の麻子さんから届けられたのは、市松人形のりかさん。
ようこのやるせない気持ちから物語は始まるのだが、麻子さんからの助言を受けて不思議な力を持つりかさんとの交流が始まるあたりから、梨木さんの世界が動きだす。

『家守奇譚』の明治時代の空気感や自然との関わり、『村田エフェンディ滞土録』では同時代の日本人の海外での暮らしぶりや異文化との交流が描かれ、その下地となっているのは日本人が自分の周りに存在するものすべてに対して抱いている畏敬の念なのではないかと感じていた。
本書では祖母と孫の間には世代を超えて、対等に通じ合える言葉を持ち、人形が背負う歴史を理解することができる。人間の世界と人形の世界が融合するあたり、謎めいていながらなぜか心の奥底に届き、少々泣きたい気持ちになる。

ファンタジーと言ってしまうとなんだか夢物語になってしまいそうなので差し控えようと思うが、遥か昔から日本人の暮らしの中に根付いてきた、自然やもののなかに存在していると感じる八百万の神に対して敬意をはらう気持ちや儚さを愛でる気持ちを丁寧に描いていく。

私の中に核として存在する、物事に対する捉え方や感じ方、行動原理。これらは生まれた後の環境(両親の思考方法や学校・社会で出会った人々、また、それらを取り巻くもの)によって醸成されてきたわけだが、その感覚が非常に似ていると感じた。

先日、勤務先のお仲間さんと今読んでいる本の話でひとしきり盛り上がった後に、梨木さんをおすすめしたところ、「私も大好きですよ!特に『村田エフェンディ滞土録』、いいよね~!」と更に話は続いた。
本を通して人と交流したり、出会ったり。
楽しみは続いていく。

レビュー投稿日
2014年12月7日
読了日
2014年12月2日
本棚登録日
2014年12月4日
10
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