旅猫リポート

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本棚登録 : 8131
レビュー : 1377
著者 :
nico314さん 有川浩   読み終わった 

有川さん、好きだ!大好きだ!と声に出したくなる1冊。

実は私、動物を飼ったことがない。時折ふと、犬か猫かがほしいなと思うことはあったけれど、結局実現には至っていない。飼ったことがある人にとっては、ひょいと飛び越えられるハードルも経験がないと、案外高い。
それでも今回は、動物と一緒に暮らしている人たちがかなりうらやましかった。


サトルと野良猫のナナがマンションの駐車場で出会い、ナナのけがをきっかけに一緒に暮らし始める。
5年の月日が流れ、ある事情によりサトルはナナを手放すことに・・・。ナナを預けるために親しく付き合ってきた友人を目指して旅に出る。

行った先で小学校、中学校、高校大学の友人たちがサトルと自分の思い出をなぞることで、読者もサトルが今まで経験してきたことを知る。

友人たちは思い出の中の出来事によって、がんじがらめになっていたり、感情がもつれてしまっていたり自由になれない自分に改めて気づく。思い出して丁寧に並べて整理しなおすことによって、少しずつ解放されていく。

ナナや旅行先で出会う猫、犬とのやり取りも楽しく切ない。
人間と同じような感情を持ち、人間たちよりも少しばかり賢く冷静だ。有川さんには彼らの言葉をキャッチできるアンテナを持っているのでは・・とさえ思う。小さな子どもと同じで、充分な言葉を持っていないからこそ感情に敏感になり別の手段で伝えることができるのかも・・。彼らが互いを理解する言語的なものを持っていても不思議じゃないなと思ってしまう。


甘くて、切なくて、あたたかい有川さんらしい1冊。
なかなかゼロにできない負の感情に苦しむ人を「大丈夫だよ」とそっと受けてとめてくれるサトルがいて、救われた気持ちになったのは、本の中の登場人物たちだけではないはず。
なぜか銅像の王子様とつばめの話を思い出していた。

そうそう、
「いつか夏に繋がるはずって扉を開け続けた猫」(P230)
にも久しぶりに会えて、ふふっと笑っちゃった。

趣味のいいユーモアと漂う哀しさで笑って泣いて、最後に再び笑顔になれるお話でした。

レビュー投稿日
2013年11月2日
読了日
2013年10月31日
本棚登録日
2013年10月31日
15
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