
タイトルで結末が想像できますが、死をテーマにした物語は、やっぱり泣けますね。
本当は誰しも、余命を与えられた状態で生きています。
でも、その余命がどのくらいかわからないから、人は死を遠ざけて生きています。
平均寿命が80歳を超える長寿大国日本。
お爺さんお婆さんになる自分を、当前のように想像しています。
余命10年は、そんな読者に死の突然性と絶対性を訴えかけます。
10年後に死ぬことがわかると、人は行動が変わります。
諦めを覚え…
涙もろくなり…
八つ当たりが多くなり…
そして、人に優しくなり…
二十歳からの10年は、普通なら希望に満ち溢れて輝いています。
就職、恋愛、結婚、出産、友情…
様々な経験をする10年を、死と向き合って生きなければならなかった茉莉の人生は辛すぎます。
もしも10年で死ぬと宣告されたら、茉莉のように強く生きられるか…
あんなに強くは生きられない気がします。
この本に出会えて、これからの生き方、価値観が変わった気がします。
1日、1分、1秒を大事に生きたい…
明日やろうを今やろうに変えたい…
余命が明日の人生かもしれないから…
この本を読んで、ストーリー以上に衝撃的だったのは、作者が亡くなってしまったことでした。
まさか茉莉と同じ病気だったとは…
前情報が何も無い状況で読んだので、衝撃も強かったです。
こんなに良いストーリーが書けるのに、次の作品は読めないんですね。
残念でなりません。
ご冥福をお祈り申し上げます。
- レビュー投稿日
- 2020年9月15日
- 読了日
- 2020年9月9日
- 本棚登録日
- 2020年9月9日
『余命10年 (文芸社文庫NEO)』のレビューへのコメント
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