作者、三津田信三が聞いたという触れ込みで複数の人間が語った話の短編集。子供の頃山奥の家に籠もった話や未来を予知する絵画の話、宗教施設の夜警など、年齢も境遇もバラバラの人間が語る怪談……のはずなのだが、最後の一編話が収束する。
最後の一編も今までと同じく作者が人から聞いた話のはずなのだが、なぜか、今までの短編の要素がところどころに出てくるのだ。
最後の一編だけ創作の可能性もあるが、この作者は今までも「作家シリーズ」などで「三津田信三」という作者と同姓同名のキャラクターを怪異に遭わせてきた実績がある。
よって、作者の近況情報以外の全てが創作という可能性もある。
しかし、創作だろうと実話だろうと、短編一つひとつがとても怖い。
作者という実在する人物を登場させることで、現実と創作の境界線が曖昧になっていき、そこから現れた怪異に引きずり込まれてしまうような錯覚を受ける。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ホラー
- 感想投稿日 : 2020年12月13日
- 読了日 : 2020年12月12日
- 本棚登録日 : 2020年12月9日
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