「ナースの卯月に視えるもの」2冊目。前作がまずまず良かったので続きに行ってみる。
長期療養型病棟に勤めるナースの卯月には患者の「思い残し」が視えるという設定。
前作ではその背景の解き明かしに少々おせっかいが過ぎるように感じたところもあったが、今回は看護を重ねる内に視えなくなるという運びで、話としては読み易くなった。
そして、それを通して一人で解消するのでなく「誰かに託す」という看護すべてに共通する大事なことに気づかされたのも良かった。
今回も看護に携わる人々の姿が描かれたが、それ以上に印象的だったのは先が長くない身内を抱えた家族の姿。
息子夫婦に遠慮して同居を拒む義母に対しこれからの時間を一緒に暮らそうと思い切って声を出す美幸さん、曾祖母の安らかな死を看取った後にDNAR(蘇生措置拒否)という看護方針を受け入れることができた桃ちゃん、認知症の父を前にして過去を洗い流していく智実さんと亜弓さんの姉妹。
患者さんでは、成長する娘に遺すビデオレターを撮り終えた後20歳になった娘に渡すつもりだったネックレスを友人に託す吉沢さんの姿が素敵だった。
実母や義父母だけでなく自分もそういう歳に近づいてきたので、いつ来るかもしれぬその時のために“患者と家族、両者にとって一番良い終末”ということについて、とても考えさせられる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2025年読んだ本
- 感想投稿日 : 2025年5月11日
- 読了日 : 2025年5月9日
- 本棚登録日 : 2025年5月11日
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