沈黙を破る: 元イスラエル軍将兵が語る“占領”

著者 :
  • 岩波書店 (2008年5月9日発売)
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感想 : 10

読んで良かった。
本当に読んで良かった。
それだけに、三章の存在が残念でならない。

【この本のこと】
「沈黙を破る」とは、兵役で戦闘兵士として2000年ごろにガザやヨルダン川西岸地区(=“占領地”)に派兵された、元イスラエル軍将兵の青年たちのグループ。
ここに掲載されているメンバーは全員、私とほぼ同世代で1980~82年生まれ。
これ以上は、安易なまとめをしたくない。

【私個人のこと】
想像して怖れ、それを回避するために一生懸命取り組む。
想像して希望を持ち、それに到達するために一生懸命取り組む。
正しく目標を持つために、正しく怖れを持つために、知識と経験を積む。
私は、私と関わりがあり、手と声の届く範囲の人たちとまず、自由や権利を害してしまった時、逆に踏み入ってこられた時、常に話し合いができるように準備をしておかなければいけない。
言い争いではなくて、話し合いってどういうものか、準備をしておかなくては互いに恐怖に支配されてしまうから。
全力で気をつけよう。
日常的にできないことが、視野を拡大したときにできるはずがないから。

【愚痴じみてしまったつぶやき的なもの】
第三章。
著者は、「沈黙を破る」のメンバーのインタビューをして、どうして「沈黙を破ったのかどうかわからない」旧日本軍の将兵たちと、「沈黙を破る」と決めた現在のイスラエル軍の将校たちを比較検討するなんて安易なことをしてしまったのだろう?
現代の日本社会と、戦時中の日本社会をまとめて「日本社会の気質」なんて言葉でまとめて、まともな現実認識や正しい自省が生まれるはずないのに。
繰り返し「自分の行いに対して責任を取る準備がある」と言い、ホロコースト・コンプレックスを言い訳にせず、1973年の戦時下と現在の占領下のガザを安易に比べたりせず自分を見つめる「沈黙を破る」のメンバーに対する答えが、この三章というのでは残念すぎる。
私は、私自身の行い、私が今現在見つめなければいけないのに行動できない言い訳、それから未来に繋がる私自身について反省し、考えることはするけれど。
こんなに話を聞いても、いたずらに母数を拡大すると「ある個人がしてもいない加虐の意識」と「ある個人がされてもいない被虐の意識」が交じり合って、新たな憎しみが形成されていくことに、どうして気付かなかったのか?
それとも気付いたけれど、なにか大人の事情的なアレでこのような形で出版せざるを得なかったのだろうか?
もしそうならば、三章は完全に別のテーマとして、一章・二章とそれぞれを完成させた形で書いて欲しい…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 借りもの
感想投稿日 : 2015年4月28日
読了日 : 2015年4月28日
本棚登録日 : 2015年1月13日

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