福一の事故から、野田政権期までの対応についてまとめた本。多くのアクターが出てくるが、政府と東電が主なアクターとなる。一連のプロセスについて、綿密な取材に基づき書かれている。(しかし、やはり少数でやるためか、裏付けの面で限界はある。)
感想としては、政府や東電の杜撰な対応や脱原発阻止に向かう、いわゆる原子力ムラの活動など、見るに耐えない。よーくわかったことは、既得権益があるとそれを手放さないということである。本書を通じて、どうすれば、原子力以外でも既得権益を手放すように持っていけるのかを考える機会となったと思う。
また、我が国の組織は、責任の所在を避ける傾向に動きがちになることも感じた。
さらに、日本の行政組織に多い、ジェネラリスト志向の弊害もうかがい知ることができた。本書で指摘されていたこととして、ジェネラリストが多いと、成熟された政策立案、特に既存の枠組みを崩すような政策立案は難しい。そのため、調整に徹する事務屋に陥ってしまうと筆者は指摘している。当然、スペシャリスト志向にも問題はあるが、行政組織の人事管理や制度のあり方も再考すべきなのでは、と感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年2月28日
- 読了日 : 2013年2月28日
- 本棚登録日 : 2013年2月28日
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