
瓶詰地獄 夢野久作
これは、ある島に漂着した3つのボトルメッセージについて書いた短編小説である。無人島に行き着いてしまった兄妹が助けを求めて、3通のメッセージを瓶にいれて海に流す。しかし、書かれて方として、時系列が新しいメッセージからであり、とても奇妙なものとなっている。幼いころに漂流したため、言葉も、漢字もわからない二人が、聖書を通じて難しい言葉や漢字を理解し、手紙を書けるようになるまでの成長を感じ取ることのできる小説でもある。
一通目の内容は、救助船が来たにも関わらず、身を投げてしまう。なぜ、助けに来たことがわかったのに、心中してしまうのかが疑問である。二通目は、無人島での生活について書かれている。漂着してどのくらいかはわからないが、10年たったようにも感じている。日々、二人きりで過ごしているうちに、男女として意識し始めてしまった。しかし、聖書を読んでいるので、禁断の恋をしていることに罪悪感を覚えていたのではないか。この二通目の文章は、どんどん読み進めたくなるような文で、聖書だけで学んだ文章能力とは思えないような書き方である。三通目は、両親に助けを求めている文章である。カタカナで書かれていることから、漢字がわからない、まだ幼いころに書かれた文章であると考えられる。
これらのことから、この小説は奇怪で、でも読みやすい文章であった。
- レビュー投稿日
- 2019年10月16日
- 読了日
- 2019年10月15日
- 本棚登録日
- 2019年10月16日
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