若きサムライのために (文春文庫)

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本棚登録 : 1532
レビュー : 139
著者 :
トイタさん  未設定  読み終わった 

面白かった。
『若きサムライの精神講話』にも後半の対談集にも、三島由紀夫が当時懸念した問題に言及している。そのまま顧みなかったから今の日本があるんだろうか、と思う点が少なからずあった。にしても、何度か思ったことだけれど「失われた美徳は二度と取り戻せないのか」という命題は、悲しいが確かなことなのかもしれない。

一番心に残ったものは、解説の「三島自害後に生まれた人間にとって、何よりもまず『切腹した作家』と知る」だ。読んだ人も読まないままの人も、『右の人』という認識は続く。ただ、たまにいる「思想から結果が先に出ており、思考過程と論理は後付けで支離滅裂」な人とは別である。あの時代、理知的な右である三島由紀夫という人から見て、そう考える十分な理由、雰囲気というものがあったのだろう。そして、いくつかは悲しい現実となった。親が子を殺し子が親を殺すという現状は異常であるが、腹立たしいことに現実だ。
強い感情に見合う高い知恵が、そのバランスが、狂おしいほど羨ましい。そして、おそらく感情が勝っていただけに死なずにはいられなかった、人の熱に期待せずにいられなかった心が、ただただ悲しい。けれど、その生に勝手に眩しさを感じる凡人の心を、許してほしいと思う。

レビュー投稿日
2013年8月4日
読了日
2013年8月4日
本棚登録日
2013年6月5日
2
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