記憶/物語 (思考のフロンティア)

著者 :
  • 岩波書店 (2000年2月21日発売)
3.92
  • (28)
  • (27)
  • (32)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 297
感想 : 24
4

<出来事>の共有には、当事者以外による分有がなさねばならない。また、印象的だったのは、映画『ワンダフルライフ』における、俳優たちの確信に満ちた自然さであるが故の不自然な演技、「自分の語りが受けとめられないかもしれないという不安ゆえに人の語りが自然と帯びる、他者への呼びかけの声が決定的に欠けている、加えて筆者の母及び祖母の戦争体験談という、無意識のうちの「戦争という<出来事>のの暴力を現在の物語として生きざるを得ない他者の存在を想起させる契機を欠落させ、自らの被害だけを記憶し、想起している」ということ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年7月16日
読了日 : 2012年5月19日
本棚登録日 : 2012年7月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする