人間を含めた動物達は植物たちが地球上で生きていてくれなければ、
一瞬たりとも生きていけないのにね。
植物たちは動物が持っている「脳」のものは持ち合わせていないけれど、
「根」にそのようなものがあるのではとは著者の見解。
だから植物たち同士必要に応じて「助け合ってる」という。
著者の植物たちへの愛情は深い経験に基づいていて、共感した。
「樹木たちの知られざる生活」
ペーター・ヴォールレーベン 早川書房
人間の汗に含まれるフェロモンがパートナーの選択で最も重要な基準となるそうだ。(略)私たちは香りを使って秘密の会話をしていることになる。そして、樹木にも同じ能力が備わっていることがわかっている。
人体と同じように、電気信号を走らせることもできる。ただし、その速さはとてもゆっくりしていて、人間の電気信号は1000分の1秒ほどで全身に広がるが、樹木の場合は1分で1センチほどしか進まない。葉の中に防衛物質を集めるまでに、さらに1時間ほどかかると言われている。
ブナの成木の内側では毎日500リットルを超える水が枝や葉を駆け巡っている。
菌類は動物と植物の中間のような存在だ。菌類の細胞壁は、昆虫によく見られ、植物には含まれてないキチンという物質でできている。つまり、菌類は植物よりも昆虫に近い。つまり、菌類は植物よりも昆虫に近い。その上、光合成もできないので、ほかの生き物から栄養を得るしかない。
アメリカのオレンゴン州では九平方キロメートルの範囲に広がり、重さ六〇〇トン、推定年齢二四〇〇歳と言うキノコが見つかっている。つまり、地球上で最も大きな生き物は菌類、キノコということになる。(略)
これら巨大キノコは樹木の敵なのだ。
どうして根がいちばん大切なのだろうか? それは、この部分に樹木の脳があると考えられるからだ。
(略)地中にある根は、樹木の中でもいちばん長生きする部分だ。根ほど情報を長期間蓄えるのに適した場所は他にないだろう。(略)根の先には信号伝達組織に加えて、動物の体内にも見られる器官や分子が存在しているそうだ。地中で根が伸びるとき、これらが刺激を察知する。しかも、研究では行動の変化を引き起こす電気信号も計測された。
植物と動物にたくさんの共通点があることが証明されれば、私たち人間の植物に対する態度がより思いやりのあるものになるのではないかと、私は期待している。
マツ林の中の空気は針葉が発するフィトンチッドの働きでほぼ無菌
とても嬉しい物質をクルミの木は葉から発散している。リラックスベンチを置く場所を探しているのなら、クルミの木の下。蚊に刺される確率が格段に低くなる。針葉樹のフィトンチッドがとてもいい香りがする。特に夏の暑い日に香りが強くなる。
以下、略
- 感想投稿日 : 2021年2月20日
- 読了日 : 2021年2月20日
- 本棚登録日 : 2021年2月20日
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