人間失格 (新潮文庫)

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レビュー : 1939
著者 :
おこめさん  未設定  読み終わった 

限定カバーが素敵だったので数年ぶりに読みました。
私の人生に於いて欠かせない一冊「人間失格」。
津軽の大地主の生まれである太宰は、生まれもっての裕福な環境で成長していく中で、他者との調和を求めるべくわざとおどけてみせたり道化精神を培っていきます。
貴族の生まれが逆にコンプレックスであり、例えば勉学などで目立つことも好まず、酒や薬に溺れわざと自堕落になることで自分へのハンデを与え、破滅することでしか生きる意味を見い出せなくなっていく様は非常に痛ましくそれでいて美しいとさえ感じました。
私自身似たようなところがあり、やはり道化を演じてしまうところがあるのですが、演じる程に自己を見失っていく感覚はとても苦しいものです。
ある人に「あなたはもっと悪者になったほうがいい。感受性が強すぎる。」と言われたことがあるのですが、
太宰にしても私なんか以上に感受性が強く抽象的な物事を読み解く才能もあるが故、恐ろしく沢山の物事を見てしまい感じなくてもいい苦痛や気にしなくてもいい事を見つけてしまう苦痛に溺れていったのだろうと感じました。

しかし道化を演じながらも酒や薬に溺れ自堕落になり、家族までも崩壊させていく姿は
人間の本質を丸裸にして見せられているような感覚になり、逆に「生」を感じさせるものでもありました。
無頼派でいてデカダン的な生き方は「ダメ人間」ではなく心の底から一生懸命だからこそできる生き方だなと感じました。
きっと誰よりも人を愛して愛されたいと思っていた太宰の生き様は美しいと私は思います。
賢くも生々しい生きることが不器用な人間性、私は好きです。

レビュー投稿日
2018年7月29日
読了日
2018年7月29日
本棚登録日
2018年7月29日
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