女性の著者が「女を論じるに男の手になる史料に頼らざるを得ないという制約のもとで」と前置きしながらも・・しっかり女性の視点で書かれています。
わたしにとって難しい言葉(初めて目にする言葉)が多く読みくだくには少し大変でしたが、すごく興味深い内容でした。
古代から近代(それもほんの数十年前)まで、女の地位は男性社会の中でいかに低められていたか痛感しました。
オイコス(家)の後継者を得ることつまり子供をもうけることが結婚の第一の目的とか、
オイコスの後継者となる子供は間違いなく夫の子供でなければならないということから、合意に基ずく姦通より、強姦のほうが相手の男の刑罰が軽いなど女の人格や感情への配慮がまったくない考え方びっくりしました。
挙句の果てには子宮の支配と管理などと!ポリス市民の再生産をするための装置のようなあつかいとも。
それでも、まだ子供を産めるアステ(市民の妻)はいいほうで、もっと辛い人生を強いられる女たちもいたことも確かです。
女の地位が何百年もの長い間そう変化することもなく続いてきたことに驚嘆するばかりでした。
とっても勉強になりました。
そして、この本のあとがきを読んでわかったことですが。
著者は本書が少しでも誤りから免れているとしたら助言者のおかげと述べ、誤りがあるとしたら、すべて自身の責任と述べています。
また、本篇のなかでも、史料上、一方の意見にすぎないとか、少ない史料であるため、これがすべて真実とは言いかねるなどと、慎重な言葉が繰り返し述べられていることから・・
歴史について記すことは、それほど大変な責任がともなうということが伝わってきました。
- 感想投稿日 : 2011年8月22日
- 読了日 : 2011年8月22日
- 本棚登録日 : 2011年8月21日
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