ゼロ (上) (角川文庫)

  • KADOKAWA (2015年12月25日発売)
本で見る
3.61
  • (4)
  • (6)
  • (5)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 67
感想 : 8
3

ドローンがアメリカ大統領を襲撃する映像が、匿名グループ「ゼロ」によってネット上に流出した。ただちにFBIとNSAは捜査を開始。
一方、ロンドンではスマートグラスを装着した少年が指名手配犯を追跡、犯人に射殺されるという事件が起きた。
「ゼロ」の関与を疑うジャーナリストのシンシアは彼らの正体を突き止めるべく調査を始めるが、次第に巨大な組織の影が忍び寄ってくる。
(あらすじより)

インターネット社会でのプライバシーや情報主権についてが主題の超近未来SF。
登場する機械やサービスはすでにあるものがほとんど。
少し違うのは現在より高性能、高機能な点だ。

面白いところは架空のIT企業「フリーミー」があらゆる個人情報を集めて管理してくれて、それをもとにアクトアプリがより良い生活、クールな少年・少女になるためのアドバイスを与えてくれる。
それによって価値(人間格付け)が上がり、その個人のデータを企業がお金を出して買うシステムが出てくるところだ。

個人のパラメーターによってランク付けされるのはバクマン。の「この世は金と知恵」に似てる。
それが価値としてお金になるのは、はじめしゃちょーが炎上した「VALU」に似てる。

フリーミーはIT企業に搾取される個人情報を自分で把握し、価値を高める方向で管理できる点が魅力として書かれている。
それを助けてくれるのがアドバイスをしてくれる各種のアクトアプリ。
分野ごとにアクトアプリがあり、興味のあるアクトアプリをインストールすることで自分を高めるためのアドバイスを貰うのだ。

問題は、「(自称)統計的に算出してる」とはいえアクトアプリのプログラムを書いた人間の意思によって操られているのではないか?
という点だ。

今日のGoogleの検索結果だって「日本」と検索しても人によって表示される結果は異なる。
アップデートを重ねているとはいえ恣意的な情報操作が絶対にないと言い切れるのか?

そんな疑念を象徴するように繰り返されるワードがある。 「ようこそパラノイアへ!」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2019年3月31日
読了日 : 2019年2月21日
本棚登録日 : 2019年3月31日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする