西脇順三郎詩集 (岩波文庫 緑130-1)

制作 : 那珂太郎編 
  • 岩波書店 (1991年11月18日発売)
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感想 : 12
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西脇順三郎を再評価するムーブメントが起きているのだろうか?
講談社文芸文庫と岩波文庫が次々と復刊。
ずっと読みたいと思っていたんだよ、この人の詩。
彼は詩でノーベル文学賞に推挙された唯一の日本人。

先に出版された講談社版の初期詩集を数ヶ月前に読んだ時は正直物足りなさを感じた。
「アルバムワリア」は西洋詩学の焼き直しにしか思えなかったし、「旅人かへらず」は冗長すぎた上、淋しさのその先にあるものが何だか曖昧で。

でも分量を増した岩波版を読んでら、これがしっくりきた。
「えてるにたす」辺りの中期?は特に分かりやすく、田村隆一が影響を受けたという全容が自分の中で明らかになった。
人間らしさというものを平易な言葉で書いてる作風がいい。
受け手も受け手で「そうだよ、淋しいんだよ!!」みたいな(笑)。
彼の出自がそう思わせるのか?
詩人としてのデビューが何と39歳。
人間として円熟を帯びたからこそ書けるシンプルな詩は誰が読んでも好きになるはず。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 詩文学
感想投稿日 : 2009年3月14日
読了日 : 2009年3月14日
本棚登録日 : 2009年3月14日

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