センセイの鞄 (新潮文庫)

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本棚登録 : 1765
レビュー : 212
著者 :
ノブさん 小説   未設定

現実はこうもうまくいくまい、と思いつつ年のはなれた(元生徒と国語教師)男女の恋を描いた恋愛小説。ツキコのセンセイへの恋慕にページをめくる手が止まらなかった。恋敵への嫉妬、同級生への違和感と反発といった第三者の存在を通してツキコのもやもやした恋情を明確にさせる。恋愛文学の王道を踏みつつ、二人の佇まいが静謐で清潔。それに季節と食べ物とお酒が美味しそうで、思わず鱈と春菊が食べたくなる。著者の文章も魅力的でくせになりそう。文章は書き出し一文目が肝要というが、冒頭一文で物語世界に読者を引きずり込む。句点で心情を表現する機微も繊細で一文ずつ噛みしめながら読んでしまった。
ひらがなや漢字でもないカタカナの"センセイ"表記もおもしろい。カタカナ表記は口承や伝承といった声音を思い浮べるが、この小説では片仮名表記で声の届く範囲=センセイとツキコの距離感を表したのかなと。ツキコとセンセイの偶然の出会いは居酒屋で隣あったのがきっかけ。ぼそぼぞと声が届く距離感はツキコとセンセイの恋愛模様そのもの。と、ごちゃごちゃ考えることもできる素敵な小説でした。

レビュー投稿日
2017年3月18日
本棚登録日
2017年3月11日
4
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