自閉症の方が実はほとんど健常者と同じことを考え悩んでいたという事実に驚く。著者の東田直樹が本を書くまで世界中の人たちがそう思っていたのだろう。自閉症の方たちはどれだけつらい思いをしてきたことか。本書でも「養護学校では、発達検査や見かけの言動で僕の知能を判断されたため、自分が望むような勉強はできませんでした」と書いている。教育界でさえ、見かけの言動に惑わされていたのだ。会話の中に引っかかるキーワードがあると別のことを連想して口に出したくなることや、嫌な思い出がフラッシュバックのように襲ってくることは私自身もよくある。それを人にわからないようにしていられるかどうかだけの違いだ。自閉症と普通の境は、緩やかな程度の差なのだろう。差を認めあえる世の中でありたい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2018年6月29日
- 読了日 : 2018年6月28日
- 本棚登録日 : 2018年6月28日
みんなの感想をみる