消費者と日本経済の歴史 高度成長から社会運動、推し活ブームまで (中公新書 2815)

  • 中央公論新社 (2024年8月20日発売)
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門外漢の流通、消費関係の新書を、インスタでフォローしてる人が読んでたので読んでみた。
ら、意外に読めたし、面白かった。

「消費者」「生活者」「お客様」という言葉の変遷。
言葉は定義を含む。つまりそれなりの意味がある。

①消費者の利益、②消費者の権利、③消費者の責任
という三つの観点がある。しかしそこで権利は無視されがちで、責任が大きく前に出ている昨今。良かれという文脈で押しつけられていると気付かぬまま、押し付けられる責任。

高度成長期、バブル、バブル崩壊、低成長の中での消費。
必要な物をあらかた得た後の消費とは。
随分と前から、1970年台からすでに始まっていたコト消費。サービス消費の経済成長へ与える影響の限界。


商学部とかだとこういうことを学んだんだろうか。
堤清二(パルコを作ったセゾングループ元代表)の考え方、哲学、無印良品への系譜、
セブンイレブンの凄さ。

経営者の哲学ってすごいな。
時代もあるかもしれないが(堤清二は学生運動真っ只中に学生であった)その時の資本主義のオルタナティブをどう作っていくか、“思想”のレベルで考えているんだよな。
トップを行く人は、やっぱりすごいんだな。それこそが名経営者ってやつなんですね。
名経営者は、社会学者であり、哲学者なんだな。すごいな。。。

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われわれが小説本を買うのは、それを読んでおもしろいと思うからで、それによって著者が巨額の印税を獲後〔獲得〕してぜいたくができるようにと願って本を買っているのではない。と同様に、消費者が製品を買うのは、それを利用して得られる利益があると思うから求めるのであって、それを買うことによって業者の繁栄を図ってやりたいと考えているのではない。

消費者主権
『生産性講座』第五巻、ダイヤモンド社 1957年

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学生運動の経験を持つ彼にとって、マルクスの『資本論』はその頃から緑の深い本であったが、一九七〇年代後半になって読み直してみると、同書の「消費」の規定のなかに、「本来、人間の個性的な生活過程であるべき消費」という記述があることに気づく。「本来、人間の個性的な生活過程であるべき」という部分は、「学生時代に読んだ時は完全に読み落として」いたのだという(『RIRI流通産業』一九九六年五月)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学系統
感想投稿日 : 2024年11月17日
読了日 : 2024年11月17日
本棚登録日 : 2024年11月10日

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