空の中 (角川文庫 あ 48-1)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング (2008年6月25日発売)
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テスト飛行中の国産超音速輸送機、そして演習中の自衛隊の戦闘機F15が、高知上空の同じ空域で立て続けに爆発事故を起こした。後の調査で、高度二万メートルの上空に浮かぶ巨大な生物(白鯨、通称ディック)と衝突したのが原因と判明する。ディックとの交渉に臨む航空自衛隊岐阜基地の面々(交渉窓口は高巳・光稀のコンビ)。穏便な話し合いが進められる中、日本政府は隣国からの脅迫に屈し、交渉チームの頭ごなしにディックを核攻撃してしまう(実際の攻撃は米軍)。無数に分裂した白鯨は、全く統制が効かなくなり、多くの白鯨が自己防衛のため人類を攻撃するようになる。分裂後の一番大きな破片(ディック)が、引き続き人類との交渉の窓口を務めるが、解離性同一性障害(多重人格)のような状態に陥っていて交渉にならない。そこで、無数の白鯨を「全き一つ」の状態に戻すための、高巳等による新たな交渉(治療)が始まる。

一方、自衛隊機が爆発した頃、高知の浜辺で半透明乳白色のクラゲ状の未確認生物(UMA)が高校生(舜とその幼馴染みの佳江)によって捕獲される。このUMA(通称フェイク)は言葉を理解し、携帯電話の電波を使って人間と話すこともできる、実に不思議な生き物。そしてフェイクは、元々ディックの一部で、航空機の衝突によってディックから剥離し、ディックの時の記憶を失ったものだったことが判明。すっかり舜に懐いたフェイクは、舜の命令で町を襲う白鯨達を次々と食べてしまうのだが…。

とまあ、こんな感じのストーリー。太古から地球に生き続ける巨大生物が、人類の攻撃で無数に分裂し、解離性同一性障害のようなパニック状態に陥ってしまう、という設定は、なかなか面白かった。

ただ、本作は、ディックやフェイクの出現を描いたSF作品であると共に、高巳・光稀、舜・佳江の二組の男女のラブストーリーにもなっていて、こちらはティーエージャー向けのテイスト。この点がちょっと残念だった。それに本作はちょっと長すぎ。

本作、いわゆるラノベなのかな?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF・ファンタジー
感想投稿日 : 2021年11月8日
読了日 : 2021年11月8日
本棚登録日 : 2021年11月5日

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