終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (角川スニーカー文庫)
- KADOKAWA/角川書店 (2014年10月31日発売)
失礼ながらタイトルが長い作品は、なんとなく地雷臭を感じて読まないことが多かったのですが、この作品のアニメを見て良い意味でビックリしました。
めちゃくちゃシリアスで哀しい作品やん、これ……。ラノベやWEB小説特有のノリ満載の作品なら、すぐに切る気満々だったのですが(苦笑)
物語の舞台となるのは、突然現れた「獣」によって地上が蹂躙され、人類が絶滅した世界。獣人や妖精族といった人類以外の種族は地上を捨て、浮遊大陸で暮らしています。しかし、そんな浮遊大陸にも獣の脅威は健在で……。
そんな中で人類の唯一の生き残りヴィレムは、友人の小鬼族から、ある兵器の管理人の仕事の斡旋されます。しかし、兵器があるはずの倉庫にいたのは幼女や少女たちばかり。そしてヴィレムは、その少女たち自身が兵器として扱われていることを知ります。
少女たちの特徴として挙げられるのは、自分の危険についての感覚が鈍いところ。少女たちは大けがをしても、痛がるよりボール遊びを優先します。それは少女たちの種族の特徴でもあるのですが、それも少女たちの兵器の側面を表しているかもしれません。
そんな中で管理人になる前に偶然ヴィレムと出会った少女クトリ。ヴィレムが気になる一方で、彼女自身の出撃の日時は迫ってきます。そしてそれは、諦めていたはずの命に対する未練が蘇ってくることでもあり……。
一巻のハイライトは、クトリ自身が兵器としての自分から、年頃の少女の感性を戻していくところでしょうか。しかしクトリ自身の境遇を考えると、それはある意味残酷なことでもあります。
アニメで話の流れは分かっていても、改めて切なくなる作品です。次巻の話の流れも分かってはいるのですが、また心がぎゅっとつかまれてしまうんだろうなと思います。
- 感想投稿日 : 2018年8月26日
- 読了日 : 2018年8月2日
- 本棚登録日 : 2018年8月2日
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