終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? (角川スニーカー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年10月31日発売)
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本棚登録 : 521
感想 : 29
3

 失礼ながらタイトルが長い作品は、なんとなく地雷臭を感じて読まないことが多かったのですが、この作品のアニメを見て良い意味でビックリしました。

 めちゃくちゃシリアスで哀しい作品やん、これ……。ラノベやWEB小説特有のノリ満載の作品なら、すぐに切る気満々だったのですが(苦笑)

 物語の舞台となるのは、突然現れた「獣」によって地上が蹂躙され、人類が絶滅した世界。獣人や妖精族といった人類以外の種族は地上を捨て、浮遊大陸で暮らしています。しかし、そんな浮遊大陸にも獣の脅威は健在で……。

 そんな中で人類の唯一の生き残りヴィレムは、友人の小鬼族から、ある兵器の管理人の仕事の斡旋されます。しかし、兵器があるはずの倉庫にいたのは幼女や少女たちばかり。そしてヴィレムは、その少女たち自身が兵器として扱われていることを知ります。

 少女たちの特徴として挙げられるのは、自分の危険についての感覚が鈍いところ。少女たちは大けがをしても、痛がるよりボール遊びを優先します。それは少女たちの種族の特徴でもあるのですが、それも少女たちの兵器の側面を表しているかもしれません。

 そんな中で管理人になる前に偶然ヴィレムと出会った少女クトリ。ヴィレムが気になる一方で、彼女自身の出撃の日時は迫ってきます。そしてそれは、諦めていたはずの命に対する未練が蘇ってくることでもあり……。

 一巻のハイライトは、クトリ自身が兵器としての自分から、年頃の少女の感性を戻していくところでしょうか。しかしクトリ自身の境遇を考えると、それはある意味残酷なことでもあります。

 アニメで話の流れは分かっていても、改めて切なくなる作品です。次巻の話の流れも分かってはいるのですが、また心がぎゅっとつかまれてしまうんだろうなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF・ファンタジー
感想投稿日 : 2018年8月26日
読了日 : 2018年8月2日
本棚登録日 : 2018年8月2日

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