都立中高一貫校10校の真実 白鴎/両国/小石川/桜修館/武蔵/立川国際/富士/大泉/南多摩/三鷹/区立九段 (幻冬舎新書)
- 幻冬舎 (2013年11月29日発売)


筆者は2004年から9年間、都内初の中高一貫校である都立白鴎高校の社会科教師として勤務した。
<目次>
第1章 都立中高一貫校の構想
第2章 都立中高一貫校の誕生
第3章 10校の都立中高一貫校と九段中等教育学校
第4章 都立中高一貫校の現実とその矛盾
<メモ>
白鴎中高一貫校では、「特色ある教育活動」として、
?質の高い授業と高い志を育成する指導
?日本文化理解のための指導
?英語力強化のための指導
などを掲げた。その実施項目として
?「社会と私」という授業(ただし3,4年実施してみて消滅)
?日本文化概論
囲碁・将棋・邦舞・邦楽・演劇などで全国大会出場レベルの者の特別枠
?プレゼンテーション・イン・イングリッシュ
受験の低年齢化を防止するために「学力検査」はしてはならないこととし、「適性検査」と呼ばれる試験があるが、実態は「学力検査」となり、受検の低年齢化に拍車をかけている。私学は小学校からの囲い込みを始めるのではないか。
進学実績を見ると、日比谷や西などの都立進学重点校と比べると見劣りする。
一貫校の試験問題は、詰め込んだ知識よりも、思考力や判断力を問う。しかし大学の試験は知識を問うものが多い。先取り学習についてこられない生徒もいる。
教員の平均勤続年数が3.3年。
中高一貫校の教員たちの勤務実態はかなり過酷なものであり、筆者が退職した原因もその多忙さにある。
あとがきにある筆者の養護学校における経験談がすばらしい。
「ダレカニ、ナニカヲ、シテモラッタラ、アリガトウト、イイナサイ」
そう教えてきた。
ぞんざいな態度を示した店員に対し、教え子が「おばさん、ありがとう!」と言った。
2013.12.15 新刊を巡回していて見つける。
2014.04.18 読了
- 感想投稿日 : 2018年11月5日
- 読了日 : 2014年4月18日
- 本棚登録日 : 2018年11月5日
みんなの感想をみる