戦争で死ぬ、ということ (岩波新書 新赤版 1026)

著者 :
  • 岩波書店 (2006年7月20日発売)
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本棚登録 : 204
感想 : 29
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 戦争を知らない世代に向けて書かれた本で色々なことを感じた。一番大きかったのは自分が戦争を知らないことを知ったこと。兵器によって人がいかに残酷に死ぬのかを分かっていなかった。映像メディア等で戦争を知らないわけではないと思っていた。しかし映像では倫理的な問題で残酷な描写は放送しないのだろう。本では想像を絶する本当の死が描かれる。想像を絶するからこそ文字から想像する光景は脳に刻み込まれる。
 そして自分は日本の被害にしか目を向けておらず日本が侵略した国の被害を知らなかった。テレビドラマ等は神風特攻隊や空襲がテーマになりがちで日本が侵略した事実は無視されがちだ。しかしそこを知らなければ反日感情を理解することはできない。日本軍がどれだけ残虐なことをしたのか、そして残酷な目にあったのか両方を知らなければならない。
 戦争は関わる全ての人を傷つける。この本を読み正しい戦争は存在しないと改めて思った。現在もそしてこれからも戦争はなくならないだろう。そのなかで日本もまた憲法9条を改正(悪)して戦争への道を歩みだそうという動きがある。アメリカの陰に隠れて日本が戦争をしないことが偽善だというかもしれない。しかし日本は大戦後自衛隊が海外で人を殺していないことをこれからも続けていくべきだと思う。戦争への道を二度と歩んではいけない。それだけが先の大戦で亡くなった人たちの供養になる。
 この本を読み自分は戦争を知らないことを知った。戦争を知らないことは危険なことでもある。しかし自分は実際に戦争を知らなくてよかった、知らなくて幸運だと思う。だからこそ私たちは戦争を知る努力をしなければならない。再び過ちを繰り返さないために。この本を入り口に戦争についてもっと知り考えていきたい。これから日本の社会を担う世代の人全てに考えてほしい。
小説とは評価基準が異なるが心に響き、人生において大切なことだと感じたので星5つ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2012年11月24日
読了日 : 2012年11月24日
本棚登録日 : 2012年11月7日

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