1927年原著出版の本書で、ホカートは言語学の方法を人類学に適用する、と宣言。この考え方はまさに構造主義のものだが、レヴィ=ストロースは彼の影響を受けたのだろうか?
王権なるものが、神話/宗教的なものと同時に生まれたことを著者は指摘する。王=太陽=神、という図式を掲げられており、説得力もある。私はずっと、なぜ人びとは王権などというものの支配を好んだのか?という疑問を抱いてきたが、この本を読んでそれが少し解けたような気がした。
さらに、「祭司」なるものは王権と同根で枝分かれしたものだとホカートは言う。なかなか面白い。
私はどうも、「権力」という概念をある文脈上で必要以上に限定しすぎていたのかもしれない。ここでは、「権力」や「支配」が真っ先に問題になるのではなく、「王」が神話のコンテクストを伴って出現するという、そのことが核心にあるわけだ。
ほかにも、イニシエーションを王の戴冠式の民衆化として捉えるなど、この本は実に面白い視点を提供してくれた。凄くいい本だと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
人類学・民俗学
- 感想投稿日 : 2013年1月30日
- 読了日 : 2013年1月28日
- 本棚登録日 : 2013年1月28日
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コメント 1件
五月王さんのコメント
2013/01/31