本州では被差別部落というものが昔あって、その名残とかあるらしいのだけれども、わが北海道では、それはない。倭人によるアイヌの蹂躙、その後のアイヌの人びとの被差別については、北海道ならではの問題とは言えるが、この本が語っているような、異民族間ではない・民俗文化的なレベルでの差別問題に関しては、北海道出身者の私にはどうもぴんとこない。そういえば、そもそも北海道(の倭人の)民俗伝承ってのも、あまり古いものは残っていない。
被差別部落(エタ・非人等)について知りたくなったのでこの本を読んだのだが、実はそのへんの具体的な実情についてはあまり詳しく書かれていなかった。
ケモノの皮を剥いだり、死体の処理をおこなったりする人びとが差別されていったようだが、この本が触れているのは彼らだけではなく、柳田国男が「非常民」として排除してしまった人たち全般にさえ、論述対象が広がってゆく。
最終的に、ケガレ=気枯れへの特別視が、白山信仰のような「再生」の思想と結びついている、ということらしい。
だがこの宮田登さん、木訥な語り口で、文章はうまいとは言えない。なんとなく読後は茫漠とした印象。
しかし民俗学自体は好きなので、こういった本もまだまだ読んでいきたい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
人類学・民俗学
- 感想投稿日 : 2011年1月22日
- 読了日 : 2011年1月22日
- 本棚登録日 : 2011年1月22日
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