ロラン・バルト モード論集 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房 (2011年11月9日発売)
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本棚登録 : 209
感想 : 10
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 例の大著『モードの体系』を周回するアステロイドのような小品群。
 前半は本当に軽やかなエッセイ集で、後半は『モードの体系』の草稿みたいな論考。
 ロラン・バルトのいつもの軽くしなやかな、機知にみちてエロティックでさえある文章が素晴らしい。

 バルトはたとえば「セーターそのもの」は、モードの記号体系にとっては「指し示されている対象」であって、記号論が繰り広げられるのは その下位に属するさまざまな記号/意味である。
 単なる機能的道具としての衣服は意味の次元にはないが、社会的人間は衣服を「意味作用」として活用する。ここにモードが出現する。
 この経緯は「音楽」と同様だ。音自体は限りなく多義的であるか、もしくは石ころのように非-意味なのだが、それが人間社会にとりこまれるとき、多用なコードの「意味作用」に巻き込まれる。
 衣服のデザイナーも、作曲家も、非-意味なる「もの自体」と、「意味作用の可能性」との境界の位置に立っていることに違いはない。彼らは結局、もの自体=自然に意味付与するだけの存在なのだろうか? しかしこの「意味/記号性」は、やはり社会が規定するラングから借りてきているにすぎないのだろうか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・思想
感想投稿日 : 2012年6月17日
読了日 : 2012年6月17日
本棚登録日 : 2012年6月17日

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