イスラーム国の衝撃 (文春新書)

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#10さん  未設定  読み終わった 

 後藤健二氏と湯川遥菜氏が自称「イスラーム国」に誘拐、身代金要求などの後に殺害された一連の事件の直後に出版された本。執筆されたのはその前なのでこの事件のことは含まれていないが、背景を理解するには十分な内容だろう。

 日本にいると「イスラーム国」は極めて突然出現した組織のように見える。本書によれば、彼らがこの自称を使い始めたのは2014年6月からで、まだ1年に満たない。ISISと略される「イラクとシャームのイスラーム国」を名乗ったのも2013年4月からだという。しかし中東のこういった団体は頻繁に名前を変える上に離合集散も激しく、「イスラーム国」もルーツを辿ればアルカイダやタリバン、イラクのバース党(フセイン大統領の党)といった馴染みのある団体と関係があるようだ。

 本書は9.11から始まるアメリカの対テロ戦争との関係を含めて説き起こしており、全体の流れがかなり良く分かった。かなり速いペースで変転する状況を明らかにするためには現地での取材が不可欠だが、頻繁に誘拐事件が起きるようではまともな取材は期待できない。かと言って彼ら自身がネットを使って発信する情報ばかりを信じるのも別の意味で危ないだろう。

 今の所、日本に住んでいる我々はあまり直接的な影響を受けている印象がないが、中東の石油に頼っていることや、国内でテロを目論まれた場合に防ぐ手段が少ないことを考えると、遠い話とばかりも言えない。

 色々思うところも多いが、何が起きても慌てずに判断できるよう、心構えはしておきたい。

レビュー投稿日
2017年6月25日
読了日
2015年2月8日
本棚登録日
2017年6月25日
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