一九七二 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2006年4月10日発売)
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感想 : 1

 『諸君!』に2000年から2002年にかけて連載された記事をまとめて2003年に単行本として出版された本。1972年という年を日本のひとつの節目とみなし、その頃に何が起きていたかを当時の出版物や著者(当時14歳)の回想で振り返っている。ちなみに1972年は私が生まれた年でもあるが、さすがに0歳の頃の記憶はない。

 本書で取り上げられた出来事としては、政治的には田中角栄の日本列島改造論、沖縄返還、日中国交正常化、横井庄一氏の帰還、連合赤軍の総括死とあさま山荘事件などがあり、文化や社会ではアメリカの有名ロックバンドの来日公演と日本人ロックやフォークの流行、ポルノやストリップなどの事実上解禁、「スター誕生」と現代的アイドルのはじまり、情報誌『ぴあ』の創刊などだ。

 ある意味、現在とほぼ同じような世の中が生まれた時期だったのではないだろうか。今と大きく違うのはインターネットがまだなかったことだが、それ以外の基本的な価値観や雰囲気はこの頃から大きく変わってはいない気がする。

 テーマである1972年から約30年後に書かれた本だが、私が読んだのは2018年なのでさらに年月が経っている。いずれ同様な書物が書かれるとしたら、次は何年が節目とみなされるだろうか。似たようなタイトルの本で『1989 世界を変えた年』というのがあるが、世界的にはその辺だろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年8月19日
読了日 : 2018年8月19日
本棚登録日 : 2018年8月19日

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