結婚と家族のこれから~共働き社会の限界~ (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2016年6月20日発売)
3.57
  • (1)
  • (3)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 73
感想 : 6

 少子高齢化が喫緊の課題となっている日本において、結婚のあり方は国家的な問題と言えるだろう。しかし同時にそれは極めて私的な領域であり、国家権力がこうしろと国民に強いることはできない。国家はあくまでも法律や制度によってお膳立てをするだけだ。では、どのような法律や制度にすれば望ましい結果を得られるだろうか。

 本書は日本だけでなく欧米も含めて家族のありかたが何によってどう変遷したかを分析し、今後について検討している。ただし明確な提言などはない。これまでの制度が実状に合わなくなっていることだけが示され、次のステップについては模索を続けるだけのまとめ方になっている。

 しばしば「伝統的」と言われる家族像が実際は近代以降あるいは20世紀後半にのみ成立したものに過ぎないこと、共働きの一般化と家事分業の手段などが新しい格差や不平等を生んでいること、結婚相手の選び方の多様化が必ずしも平等な社会に繋がらないことなどは、議論の前提として理解しておく必要があると感じられた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年2月10日
読了日 : 2018年2月10日
本棚登録日 : 2018年2月10日

みんなの感想をみる

ツイートする