ローワンと魔法の地図 (リンの谷のローワン 1)

  • あすなろ書房 (2000年8月1日発売)
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本棚登録 : 1652
感想 : 169
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 エミリーロッダの作品はよく読んでいるので今回はこのシリーズを読み始めてみた。
 相変わらずとても楽しい!他の作品に出てくるような恐ろしい怪物はあまり出てこなかったがそのかわり不思議で恐ろしい罠や自然が襲いくる構成になっており結構新鮮だった。また途中途中に挟まれる不思議な詩が謎解き的な面白さを出していた。
 特に良かったのは登るにつれて主要人物達の過去や強そうに見える態度の裏の弱みが少しづつあらわになっていく点だと思う。実際エミリーロッダの他の作品よりも人数の多いパーティーでゆく旅だったがそれでもそれぞれの人物をしっかり描いていたように感じた。なかでも面白かったのは主人公が夫を亡くした母親といい関係を気付きつつある男を見る目線である。なんというか微妙な距離感と感情が見ていて面白かった。

 最後に気になった点だが、今回の作品に出てくる竜について。ドラゴンはこの作者の別作品デルトラクエストにも登場するがデルトラのドラゴンも本作のドラゴンも、恐ろしいけれども恵みを多くもたらし、恩を忘れないが恩人でも下手に動いたら殺してしまうような残虐さや酷薄さをもたらす、自然そのものの擬獣化のような性質を持っている。これは作者の考え方や故国の文化に由来するものなのだろうか?何にしても面白い共通点だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年2月15日
読了日 : 2023年2月15日
本棚登録日 : 2023年2月15日

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