夢見る帝国図書館

著者 :
  • 文藝春秋 (2019年5月15日発売)
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本棚登録 : 2510
感想 : 287
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日本で初めての図書館の歴史は
上野の歴史を辿る物語でもある。
戦時下の言論統制で没収されたたくさんの本、
植民地から略奪してきたたくさんの貴重な資料、
そんなもので知恵と自由が詰まったはずの図書館が溢れてしまった時代があったんだな。。。

動物園のすぐ隣にあった図書館にはきっと
人間の勝手な理屈で餓死させられていった象の悲しい叫びも届いていたんだろう。
「帝国図書館」が語る『かわいそうなぞう』の話は、悲し過ぎて息が苦しくなるほどでした。

国が間違った方向に進もうとするとき、真っ先に犠牲になるのは、本を読む自由や精神の自由
そして抵抗することのできない動物や子供たちだ。
終戦後浮浪児だった喜和子の一生を通して、
改めて自由に本が読めることの大切さに思いを馳せるのでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(女性作家)
感想投稿日 : 2019年7月10日
読了日 : 2019年7月9日
本棚登録日 : 2019年7月10日

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