華厳の思想 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (1988年5月2日発売)
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本棚登録 : 149
感想 : 10
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講談社学術文庫にこのタイトルがあることは前から知っていたが、仏教思想カテゴリーは苦手なほうだし手を伸ばすことはなかった。だが落合陽一が「最近読んでいる」として挙げていたので「?」と思って取り組んでみた。
家は真宗であり「阿弥陀経」は色々な機会に耳に入れていたとは思う。ところが華厳経というのは東大寺?と思いあたるくらい。
本書はカルチャーセンターの講座をまとめたものだそうで、中国の坊さんの名前を無理に覚えようとさえしなければ気楽に読める。荘子の万物一体、是と非、此れと彼を一に帰す思想と、華厳の一即多、多即一というのが相通じているとな。こういうのを聞くと、フーリエ変換を思い出す。物でも事象でも、今見えている状態が、神の目のような発想を一旦経由して別の視点に写してみると、全体が一点に、一点が全体に変換されてしまう。物でも事象でも双対性があって、どちらの見方も真実であるが、全体を一度に見るというのは別次元の視点が必要になるというもの。世界はそういうものだというのは文理どちらも同じとらえ方をしているのだな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思想・哲学
感想投稿日 : 2021年2月18日
読了日 : 2021年2月18日
本棚登録日 : 2021年1月30日

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