ルート225

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本棚登録 : 322
レビュー : 68
著者 :
O-bakeさん yamada5さんによる児童SF30選   読み終わった 

これはまたとんでもない作品を読んでしまったなあと、軽く後悔した。
パラレルワールドに分類される作品だけども、主人公姉弟が迷い込んだのは、それまでいた世界とほんの少ししか違わない世界。例えば友人の体型がほんの少し太っていたとか、気まずくなっていたはずの友人と仲直りしていたとかいうレベル。迷い込んだはずの姉弟はまるで違和感なく異世界でも受け入れられてゆく。ただし、亡くなったはずの少女が生きていて、いるはずの両親が不在。そして元の世界に帰る手立てがわからない。
これはものすごい恐い設定だ。「私達は違う世界から来た」と言っても誰も信じてくれず、真実を知っているのはいっしょにパラレルワールドに来たきょうだいだけという孤独と恐怖。
この孤独と恐怖を姉弟は少々ひねくれたコミュニケーションの中で共有する。具体的にいうと少々ひねくれた素直じゃない姉と、気弱で、でも冷静に物事を観察できる弟の、ある種漫才のようなコミュニケーション。これがものすごく秀逸で、本作の一番の読みどころだろう。実はパラレルワールドうんぬんは、背景以外の何者でもない。これはSFと分類すべきではないのかもしれず、だとしたら、姉弟が元の世界に戻れないままというラストもさほど掟破りではないのかもしれない。

だが異世界に身をおいたまま、両親が行方不明ということで、違う親戚のもとへ引き取られることになる姉弟はかなり切ないし、読後感があまりよくない。救いがあるとすれば、彼らが前向きに新しい「現実」の中で生き抜こうとしているところだろうか。どんな現実であろうがその中で生きている限りは適応していかなくちゃいけないと、本能的にわかっているんだろうな。

あるいは、パラレルワールドというのは、両親が事故か何かで突然他界したことの隠喩かもしれないと考えたりもしたが、いずれにしても新しい「現実」に適応せざるを得ないのなら同じことだ。

レビュー投稿日
2014年5月27日
読了日
2014年5月27日
本棚登録日
2014年5月21日
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