電信柱と妙な男: 小川未明怪異小品集 (平凡社ライブラリー)

著者 :
制作 : 東雅夫 
  • 平凡社 (2019年7月12日発売)
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本棚登録 : 80
感想 : 10
5

小川未明の怪異色の強い作品を集めたアンソロジー。「金の輪」や「赤い蝋燭と人魚」といった有名かつ容易に読める作品を排除し、児童文学以外からも多くチョイスしているあたり、さすが東雅夫といったところ。
小川未明はプロレタリア文学の持つ悪趣味なグロテスク嗜好とは違う、残酷さに美を見出した人で収録先にもその傾向は色濃く感じる。収録された「囚われ人」などはちょっとケッチャムを思わせるような筋立てだが、そこに悪意や憎悪はなくただひたすらに残酷なだけだ。「血の車輪」も物語自体はプロレタリア文学風のグロテスクなものだが描きだされるイメージは未明自身の持つ社会主義的な思想を超えたものがある。そこらへん、本格を指向するも何を書いても変格になってしまう江戸川乱歩に近いものがあるのかも。
収録先はどれも素晴らしいが、一番気にいったのは「櫛」。物語としての体をなしてはいない分恐ろしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年4月3日
読了日 : 2020年4月3日
本棚登録日 : 2020年3月10日

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