フューチャー・ネーション:国家をアップデートせよ

  • NewsPicksパブリッシング (2020年6月24日発売)
3.00
  • (0)
  • (2)
  • (7)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 87
感想 : 4
3

メタバース世界での国境の意味を考えるなどの内容かと思ったら、実は大きく違ってもっと真面目な本だった。
デジタル的な話ではなかった点で、逆の意味で興味を持ったという感じだ。
本書で課題としている話は「(リアル)国家は、今後どうなるのか?」ということだ。
我々日本人は島国という特性もあるし、使用言語も特殊なために「日本国家」そのものをイメージしやすい。
しかしながら世界を見渡せば「●●言語を喋るから、●●人」とは当然イコールにならない国も多数存在する。
「▲▲国で暮らすから、▲▲人種」ということも当然成り立たないケースがある。
日本ではあまり身近でないかもしれないが、「帰化」だってその一例だ。
外国籍の人であっても、もし「日本国籍」が取得出来れば、その人はそこから「日本人」ということになるのは理解できるだろう。
そういう状況で「国家とは何なのか?」「●●人とは何なのか?」を定義しない限り、「今後国家そのものがどうなっていくのか?」は問えないという訳である。
本書では各論としての答えを出す前に、「地球という一つの国家として考えることは出来ないのか?」についても論じている。
もちろん昨今のSDGsなども含めて、地球環境の改善は、世界が一つになって取り組むべき課題である。
今現在も続くコロナウイルスによるパンデミックに対峙することも、世界が一つになって取り組むべき課題である。
そう考えてみると、自国の利益を優先するのではなく、あくまでも地球全体の一員として考えた方がよさそうだ。
これは当然に理解できる。
地球は一つだし、我々が暮らす上では運命共同体な訳だ。
かつてよく聞かれた言葉で「宇宙船地球号」と言う表現があるが、本質をついていると思う。
心の底では理解しているのに、そう単純にいかないのが人間というものか。
ここ数年間は、世界はナショナリズムに振れていた。
世界の平和は願うけど、自分自身が犠牲になってまで行う必要があるかとという考えだ。
トランプ政権誕生しかり、ブレグジットしかり。
北朝鮮は核開発をし続け、中国は世界を牛耳ろうと画策している。
2022年の現在は、ロシアがウクライナに侵攻し戦争まで起こってしまった。
ナショナリズムの人々も、論理展開的には「我々の正義が世界を平和にするのだ。他人に任せてはならない」という感じだろう。
そういう意味では、世界平和については考えているのかもしれない。
ただしこれら主義主張をそのまま受け入れることは出来ないし、今後一つにまとめ上げることも出来ないだろう。
そういう中で地球環境は日々悪化している。
どうやって国家という概念を今後アップデートしていけばよいのか。
理想だけで一つの地球・一つの国家を作れるのかは個人的には大きく疑問に思う。
本書では指摘が無かったが、今後メタバースなどバーチャルな世界が普通になっていったらこういう「国家という概念」もどう変わっていくのだろうか。
個人的にはそちらの方がすごく興味がある。
バーチャル世界は国境もなければ人種の差もない。
貨幣すらバーチャル世界の中で、そのルールの中だけで完結したら、ドルも円も意味が無いかもしれない。
今はバーチャル世界がどうやって進化していくのか分からない部分が多いのだが、数十年後はどうだろうか。
そんな遠くない未来でもバーチャル世界が一般化していそうな気がする。
我々中高年は今までのリアル世界が居心地良くて、バーチャル世界の良さが理解出来ないかもしれない。
しかし、生まれた時からバーチャル世界が存在している世代がこれから誕生していく中で、話はそんなに単純とはどうしても思えない。
子供が赤ちゃんの時、両親が子育てする中で、ちょっと「バーチャル世界で遊んでいてもらう」が当然出てくるだろう。
そんな長時間でなくても、夕食を作る30分とか1時間とかそういうレベルだ。
今でもテレビを見させたり、お気に入りのビデオを見させて、その内に親が洗濯物をやるなんてことがある。
そのテレビやビデオが「バーチャル世界」に変わるだけだ。
そうなった時に子供に、リアル世界とバーチャル世界の区別はつくのだろうか?
クリスマスにサンタが存在しない事を知ったのは何歳だっただろうか。
そういうような感覚で、バーチャル世界のファンタジーと、リアル世界の差に気が付くのは何歳くらいなのだろうか。
生まれた時からバーチャル世界で生きた世代がその後大人になった時、それこそ「国家」という認識はどうなっていくのだろうか。
私は寧ろそちらの方が気にかかる。
もしかするとリアル世界の「フューチャー・ネーション」を解決するのは、バーチャル世界世代の人達なのかもしれない。
そういう考え方はないだろうか。本書を読みながらもそんなことを想像してしまった。
(2022/8/21)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月28日
読了日 : 2022年8月21日
本棚登録日 : 2022年8月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする