NETFLIX コンテンツ帝国の野望―GAFAを超える最強IT企業―

  • 新潮社 (2019年6月25日発売)
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感想 : 3
4

読み応えのある本だった。
Netflixの起業物語は、そんなに語られていないので、この本の取材内容は後世にとって非常に貴重なのではないだろうか。
それは、ブロックバスターとのガチンコ勝負の歴史だからだ。
運命というのは何が起こるか、最後の最後まで本当に分からない。
店舗型レンタルのブロックバスターに対抗して、郵送型レンタルのNetflixが対抗する。
起業当時は現CEOのリード・ヘイスティングスが陣頭指揮を執ってなかったのも意外。
共同創業者のマーク・ランドルフが、実は起業時の一番の貢献者。
マークが、サイトの基本設計をし、ビジネスモデルを組み立てた。
ユーザーにとって、より使いやすくするためにサービスに磨きをかけていく。
「品揃え」「サイト表示」「レコメンド機能」「倉庫配送システムのテック化」
特にレコメンドと倉庫システムは、マークがほとんど作り上げたのだから、その貢献度合は非常に大きいはず。
しかし、そこがベンチャー企業の限界でもあった。
創業メンバーがワイワイガヤガヤ楽しくやっていたことを、一刀両断。
そこからリードに経営が変わってから、企業としては大きく成長していく。
会社が成長するために、その道をプロを送り込み、会社経営やマネジメント、ガバナンスを加速させる。
高校野球がMLBに変貌していくイメージだ。
それでも、ブロックバスターCEOのジョン・アンティオコ氏が店舗型DVDレンタルから、Netflixを倒すべく郵送型レンタルに参入し、デジタル化にシフトする。
ここからのブロックバスターがすごい!
アンティオコの執念がスゴイ!
「郵送型のみ」のNetflixに対して、「店舗&郵送併用」のブロックバスター。
「旧作のみ」のNetflixに対して、「新作」のブロックバスター。
顧客からすれば、ブロックバスターの方がサービスの質として完全に勝っていた。
そして、完全にNetflixを追い詰めていた。
ほんの後ちょっとで倒せていたんだ。
それなのに、赤字を垂れ流すデジタル部門を、ブロックバスター全体のトップが切り捨ててしまったのだ。
そして、アンティオコを首にし、元セブンイレブンCEOのジェームズ・キーズを招聘。
デジタルをクローズし、店舗第一の経営方針に戻していく。
そして一気にブロックバスターは破綻の道を進んでいくのだ。
後ほんの少し我慢して、ブロックバスターがNetflixを倒せていたら、今の業界地図はガラリと変わっていただろう。
最後ブロックバスターを去る時のジェームズ・キーズが格好いい。
男泣きに泣いて、社員もみんな泣いて。
まさに人に歴史アリ。
それを知るだけでも価値ある本だ。
(2019/7/10)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年6月14日
読了日 : 2019年7月10日
本棚登録日 : 2020年6月14日

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