折口信夫を読み直す (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (1994年12月1日発売)
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感想 : 3

折口信夫について一切の知識がなかったので、彼について、ざっくばらんに知るために読んだ。

折口の生涯などには一切ふれず、彼の著作の流れ、基本となる著作の紹介と、著作にたいする筆者じしんの批判。批判は、誠実な検証がなされているという感じがして、すごく好感が持てた。(ただ、好感が持ててしまうだけに、折口初心者なので、折口にたいする不信感が募った)

折口は、日本民俗学の領域で、柳田國男とならぶ双頭であること。柳田に触発されて多くの論文を発展させていること。(柳田が庶民の生活の解明につとめたのに対して、折口は芸能史や国文学の研究につとめている)

柳田の研究は、帰納的、個別的。多くのデータを取ることで自然科学的に実証していた。

対する折口の研究は、演繹的、体系的であった。実感尊重主義であり、かぎられた資料をもとに、実感を駆使して頭の中で理論をくみたてる。のちになってその理論に都合の悪い資料が出てくると、素早く理論の組み替えをおこなうが、前の理論との整合性には考慮がはらわれず、矛盾した理論がかれの名前のもとに同居することになる。

紹介されている折口の論は、
まれびと、翁と三番叟、依代、鎮魂、常世・他界。

データとして使えるのかは甚だ疑問に思ったが、紹介されている折口の思想はどれも魅力的。まれびとの考え、依代のところ、神への犠牲は殺すべき神の身代わりである。個人は異教の人を他界人と考えた。など。

その他、筆者の書いていることで面白かったこと
犠牲が神の身代わりではなく、神そのものであること。(アイヌのイヨマンテ)
折口の天皇論が、戦時の国民にイデオローグとしてもたらしたこと
折口の天皇論では、天皇霊論のモデルが、沖縄地方の支配者の支配権を保証する世かけセジにあること(天皇の起源)


筆者の論が中心的ではあったが、そこまで筆者が前面に押し出てきてうるさいわけでもなく、説明もすごく分かり易かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年9月13日
読了日 : 2014年9月13日
本棚登録日 : 2014年9月13日

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