21世紀最初の年、2001年に海を渡りMLBへの挑戦を始めた2人の日本人。
一人は北海道で華やかに選手生活を終え、もう一人は引き続きシアトルで春を迎えようとしています。
そのシアトルで春を迎えるイチロー選手のMLB一年目を追いかけたのが、こちらの一冊。
著者は当時シアトル・マリナーズの番記者であったボブ・シャーウィン氏。
その語り口は、ある時は冷静に突き放し、またある時には情熱で包まれたものとなっています。
昨今の日本では見出すのが難しくなった、純粋な熱意とジャーナリストとしての誇り、を感じることが出来ます。
公平であることそして信念を突き通すこと、簡単なようでいて非常に難しいことなのかな、とも思ってみたり。
読んでいて面白いのが、数字として残されている記録が非常に多い点でしょうか。
なにはともあれ「データ」から入っているのは非常にアメリカ人らしい、のかな。
日本での打者を示す数値は、打率・得点圏打率・本塁打数・出塁数辺りがメジャーだと思いますが、
アメリカでは上記のほかにも打席数・単安打数・複数安打数・複数年での安打数等々、多岐にわたります。
さて、メジャー一年目から、新人王・MVP・首位打者・盗塁王・シルバースラッガー賞・ゴールドグラブ賞に輝き、
前年の佐々木選手同様「新人扱いでいいのか」なんて話もでていたそうですが、そこはMLBの誇りでしょうか。
「これはまさに外国人に対する嫌悪だ」と言い切っています。
そうそう、日本では「laser-beam!」で一躍有名になったライトからサードへの送球ですが、
本場では「The Throw」とも呼ばれるようです、定冠詞が付いているのがさすが、でしょうか。
そんなイチロー選手も昨シーズン末からセンターへコンバートされました。
数年前に新庄選手と共に歩んでいた小島氏が嘆いたタブーが一枚、剥がれつつあるのかもしれません。
本拠地セーフコ・フィールドの「エリア51」もライトからセンターに移ることになるのでしょう。
デビュー以来6年連続で続いている200本超安打の記録を伸ばし続けることもまた、期待していたりも。
なお後書きでは、王選手や張本選手、長嶋選手達と並べて、特例での殿堂入りも考えるべきだ、とまで言っています。
それだけにここ数年のシアトル・マリナーズの絶不調ぶりは残念で仕方がなかったりも。
また2004年の軌跡を追った続編も出ています、そう、ジョージ・シスラーの年間最多安打記録の更新をした年。
今春くらいに文庫本に落ちてくるのではないかと、首を長くして待っているのですが、、
イチロー選手の「野球」に対してひたすら一途な真摯さ、想い、そして熱意を感じられる、そんな一冊。
- 感想投稿日 : 2011年6月20日
- 読了日 : 2011年6月20日
- 本棚登録日 : 2011年4月15日
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