ラビット病 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1994年10月28日発売)
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本棚登録 : 2601
感想 : 301
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学科の友達が山田さんの別の作品を読んでいて、(『色彩の息子』だったか?)そこに通りがかった別の友達が、

「私ラビット病しか読んでないや。」
「ああ、あれ」
「誰だっけ男の人の名前」
「ロバちゃんだよ!」
「そうだ、ロバちゃんだ!」

……どなた?
そんなに有名な作品なのか。名前すら知らなかった。なんたることだ。っていうか、ロバちゃん誰。ロバちゃん誰。

まぁ、まさか、読むまではこういう話だとは思ってもいなかったよね!!物凄い勢いでいちゃこらつかれたよね!!それが全然不快じゃなかった(リア充爆発しろ的な意味で)のは、ゆりちゃんとロバートの性格がなせる技なんだろうなぁ。しかもそれが、なんていうか、あまりにも美しくて嫉妬する気になれないというよりは、こんなんになる位だったら誰かとラブラブにならなくていいや。と思わせるレベルの愛は盲目っぷり。正直、小説の中の人物だと判っているのに、ドン引きするという異例の事態。
ロバートはともかく、ゆりちゃんなんて現実にいたら絶対に嫌なやつなのに、あんだけロバートのこと愛してる愛してる愛してる言われちゃあ。くそう、かわいいじゃないか。としかなりません。あの薄い本1冊の中に、何回愛っていう単語、でてきたんだろうなぁ。数える気にもならない程度、とだけ言わせていただきましょう。

全体的に読みやすかったし面白かったです。不快になる作品は無いし、まぁ、そうですね、あえて言うなら、クリスマス前に恋人いない人が読んだら凹むかもしれませんね、ってくらいです。いや、積極的に恋人をつくろうという気持ちになるかもしれない。むしろ、恋人がいる人の方が危険かもしれません。自分たちはここまで愛しあえているのだろうか、と不安になるかも。だが、正直言って、現実でゆりちゃんとロバートのようなことをやっていたら、犯罪すれすれ。
あえて難をつけるなら、一番最初の話のGASだけは、ゆりちゃんのイメージが大分違くて、その後の修正に少々手間取ったんですが、というか、イメージのギャップに少々戸惑いました。1話と2話の間に時間の経過を感じたのですが、はてさて。

正直、ちょいちょい出てくるロバートの友達が良い味出し過ぎてます。好き!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学
感想投稿日 : 2011年12月18日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年12月18日

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