ファインマンさん最後の冒険

  • 岩波書店 (1991年5月21日発売)
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著者のラルフ・レイトンにファインマンが「タンヌ・チューバはいったいぜんたいどうなっちまったんだ?」と聞くところから話は始まる。そんな所はないと思ったらファインマンが子供の頃切手集めをしており、チューバの切手を持っていた。地図で確かめると確かに有り首都はxyzylで母音が無い、そんな名前の所は絶対面白いに決まっている、さあ行くぞと盛り上がったのが1977年の夏である。
チューバはモンゴルとソ連の間の独立国であったが1944年にソ連に統合されていた、当時は米ソ冷戦の真っ只中で、外国人はソ連の旅行社が有る所しか行けない、そこを何とかしようと言うゲームが10年がかりで続く。題名とは違い本書の主人公は著者レイトンなのだがそれはファインマンと一緒に楽しもうと言う動機からなのでやはりこれもファインマンシリーズの最後を飾る本としては相応しい。
touva友の会を作り(実は今でもあり日本語サイトも有る)、調べ、手紙を書き、伝手をたどって徐々にチューバに近づく。問題はどうやってチューバに行く理由を見つけるかだが、スウェーデンでのソ連科学アカデミー主催のシルクロード展を見学しその関係者を巻き込んでアメリカにその展示会を行うことを思いつく。レイトン自身はただの高校教師だが、ファインマンの伝手もあり等々この企画を実現させてしまった。
チューバまであと一歩というところでなかなか招待状が下りず、78年以降4度のがん手術を経て88年2月15日ファインマンは世を去る、招待状が届いたのはその4日後だった。
ファインマンは本当にチューバに行きたがったが同様にその過程を楽しんでいたようで、TOUVAと言うナンバーのレイトンの車と一緒に写った写真を現地の新聞社に送ったところ記事になったという事を知らされ喜んでいる。

因みにチューバにはアジア中心の碑が有り、またフーメイ(モンゴルのホーミーと同じ)と言う特殊な唱法が有り龍馬伝のテーマソングに使われている。そりゃ面白い所なんだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 人物
感想投稿日 : 2013年2月19日
読了日 : 2012年6月7日
本棚登録日 : 2012年6月7日

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