スプートニクの恋人 (講談社文庫)

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本棚登録 : 13698
レビュー : 1249
著者 :
okamoriさん  未設定  読み終わった 

小学校の教師をしている「ぼく」と、同じ大学の後輩で小説家を志す「すみれ」、そして「ミュウ」という女性との、ミステリアスなラブストーリー。

すみれがローマから送ってきた手紙が、この本のテーマをつかむ手がかりになると思う。

「… もちろんこれまでの経緯をたどっていけば、『わたしがここにいること』にはそれなりの理由がつくんだけど、実感として納得がいかないのです。どうリクツをつけても、ここにいるわたしと、わたしの考えるわたし自身とがひとつになじまないのです。べつの言い方をすれば、『わたしはじつのところ、べつにここにいなくてもよかったんだ』ということです。 … 」

日々の暮らしの中で行うさまざまな取捨選択。
時として、失われた「あり得た自分」を思うことはある。
「こちら側」と「あちら側」の関係に対する三者三様の向き合い方が描かれる。

「どうしてみんなこれほどまで孤独にならなくてはならないのだろう」と、「あちら」と「こちら」を感じながら、「こちら側」の世界を生きる「ぼく」は考える。
「… ぼくは眼を閉じ、耳を澄ませ、地球の引力を唯ひとつの絆として天空を通過しつづけているスプートニクの末裔たちのことを思った。彼らは孤独な金属の塊として、さえぎるものもない宇宙の暗黒の中でふとめぐり会い、すれ違い、そして永遠に別れていくのだ。かわす言葉もなく、結ぶ約束もなく。」

レビュー投稿日
2019年8月4日
読了日
2019年8月4日
本棚登録日
2019年8月4日
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