快楽でよみとく古典文学 (小学館101新書)

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本棚登録 : 77
レビュー : 11
著者 :
It's okay to be unsureさん Literature   読み終わった 

その人がいなくなって初めて、あるいは死んで初めて恋しく歌うときに使う言葉「なくてぞ」。「なくてぞ」は、「ある時はありのすさび(み)に憎かりきなくてぞ人は恋しかりける」という古歌の一部だそう。著者の大塚ひかりが言うように、死んでからのその人の評価をがらりと変える「てのひらがえし」より、ずっとエレガントだ。

古代の古典には「日本人離れした」愛情表現が意外に多いと言う指摘が面白かった。「我が背子」は「あの人」と訳せば足りるには足りるが、「我が」も欲張って訳すと「私のあの人」となって、ちょっと現代語っぽくない。「古事記」でもイザナキとイザナミが「美しき我が那瀬の命(みこと)」、「美しき我が那邇妹(なにも)の命」と呼び合っているが、マイダーリン、マイハニーと訳せばいいのだろうか、と問いをなげかけている。

同書によれば、娘へのラブレターに代返したり、結婚する娘のために、新郎を悩殺する香水作りに精を出す父親がいたりと、古代の貴族は結構過激だった。極めつけは「宇治拾遺物語」の中の、好きな女を諦めるためにその人の糞尿を盗んで見ようとする男。この試みには、カストリ雑誌ばりの展開が続く。

レビュー投稿日
2011年2月3日
読了日
2011年2月3日
本棚登録日
2011年2月3日
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