ショートショートとしての落ちを期待している読者にとっては、物足りない作品だと感じるだろう。私自身も落ちのないこの作品を、一瞬駄作なのではと思ってしまったが、一夜の内に繰り広げられる様々な人間の生活のとある一辺を切り出している形の作品なので、始まりも、終わりもあいまいなこの作品は、この終わり方が一番なのではないだろうかと読み終わった後に感じた。どの登場人物の物語も完結していないために、ある意味読者側でイメージを広げる事が出来るし、カメラ的な視点として登場した我々としても、全てを見届けるのではなく、一部だけを垣間見る事が当たり前なのかと思った。いずれにせよ、村上春樹らしい空気感が出ている作品の一つだと思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ホラー
- 感想投稿日 : 2011年4月9日
- 読了日 : 2011年4月9日
- 本棚登録日 : 2011年4月9日
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