以前から、こうして読んだ本の感想を書いては、「なんて下手な、面白みのないことしか書けないのか!」と落ち込んでしまいます。文章、上手くなりたいです。
ですから、これまでにも、文章を書くための技術を指南した本も何冊も読んできました。でも、まったく身になってはいません。

私の最近の推しである、三宅香帆さんが書かれた本書。
表紙に書かれた副題「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい」しかでてこない」、帯の惹句「すごく感動したのに「おもしろかった」しか言葉がでてこない……!!」をみて、「やばい、俺のことじゃん!」、なんとか自分も書けるようになりたい、と思い手に取りました。

タイトルの通り、言語化するための手順が分かりやすくかかれています。もちろん、読んだからすぐに言語化でき、推しを語れるようになるわけではありません。それには著者が言うところの「工夫する努力」「工夫しようとする意志」が必要であることは言うまでもありません。

この本のさらなる魅力は、いわゆる文章読本、書くための技術を教えてくれるだけの本ではないことです。
この本の根底には、SNSなどで交わされる強い言葉、それを無防備に受入れ状況への著者の危機感があります。
著者は「自分の言葉を見つけること」「自分の言葉をつくること」の重要性について繰り返し述べています。
そして、今、SNSやその他のメディアでもあふれている強い言葉、他人の強い思いに触れ、それが自分の思っていることだと認識してしまうこと、の危険性を指摘します。なぜなら、それは「洗脳のされやすさにもつながる」から。
「人に頼らず、自分の言葉をみつけましょう。誰かに思想を洗脳されないために、そして自分の頭で考え続けるためには、自分の言葉が重要です。」との言葉にとても共感しました。

まぁ、堅苦しいことは考えず、まずは「推しがたり」していきたいと思います。

2025年5月2日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2025年4月30日]
カテゴリ 随筆・エッセイ

私も非常勤講師として、専門学校で留学生たちの授業を担当しています。
もう、数年経ちますが、なかなか思うように、伝えられていません。パソコン用語などでも日本語化しているものもあり、一苦労。
英語もできないので、日本語英語の発音を留学生たちに笑われたりしています。

そんなわけで、少しでも参考になればと思い手にしました。
9カ国9名の日本で活躍する外国人が登場。
日本語教師でもある著者が、それぞれの日本語との出会いや勉強方法をインタビューしています。

日本語の何に戸惑うか、日本語の教育や教材について、日本語とそれぞれの母語の違いについて、という「言語」としての日本語についての気づきも多くありました。

しかし、私が一番、この本で学べたのは、日本語を学ぶ外国人との接し方です。
フィンランド出身のラウラ・コピロウさんは、高校で日本に留学した時のホストファミリーが「(前略)『おはよう』って言うと『〈おはようございます〉だよ』というような感じで、面倒くさがらず指摘してくれました。『いいよいいよ、外国人だから』みたいに扱われなくてほんとうに良かった。いいご家族に恵まれました。(後略)」(126p)
中国料理の大家、孫成順は「(前略)(日本に来て) 3年くらい経って、東京に来てからですね、大変だった。まだ言葉が出来ないから、分からない時に『すみません』って聞くでしょ。東京の人、逃げるんですよ。残念でした」(43p)

著者も書いているが、わざわざ日本に来て、学び、働く人たちには尊敬しかない。
私も日本語しか話せない、異国の地で母国語ではなく、その地の言葉で生活していくことがいかに大変か。二カ国語を話せるという、私よりもずっと能力の高い人たちに教えているなんて。
この本に登場する人たちはいわゆる成功者。しかし、私たちが普段接する、日本で働く人たちはより苦労が多いはず。私の接する留学生たちも、アルバイトに追われ、がんばって生活している。
そんな彼・彼女らに寄り添って接してくれる人々が増えることを願う。

2025年5月5日

ネタバレ
読書状況 読み終わった [2025年4月30日]

文庫化されたのを機に購入。
小学生の時からもう何度も繰り返し読んでいる、楽しいけれど物悲しく心を締めつけられる。
戦争で心を病み帰ってきたモミイチが、山の中でであった自由に楽しく生きる”ジプシー”たちと心を通わせる物語。
ジプシーたちの暮し、そのコミュニティーはやさしくゆるやかで、まさにファンタジー。でも、子どもの頃は、ほんとうにこの国の山の中にはそんな世界が存在するのではないか、と夢見ていた。今も本当にあって欲しいし、できればその中でくらしたい、と思う。
人のありよう、社会のありよう、そして、戦争についても考えさせられる。

2025年4月16日

読書状況 読み終わった [2025年3月29日]
カテゴリ 絵本・児童書
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読書状況 読みたい

著者はチャットモンチーの元ドラマーで、現在は作家・作詞家の高橋久美子さん。チャットモンチーも名前を知っているだけで楽曲を聴いたこともなかった。
いつものネットショップで新刊本の案内で発見し、ジャケ買い、というか、タイトル買い。
何か文章を書くヒントになれば、と思い手に取ったもの。
しかし、別の意味で衝撃の発見が!
それは本編の冒頭の章「本を「音」で読む人」にある。
私も著者と同じく、「もうひとりの私が脳内で音読してくれている」タイプ。しかし、みんなそうではない、という。びっくりである。
この事実を知れただけでも価値があった。
お堅い文章論ではなく、音楽と詞の関係についてや、作詞講座などもあり、気軽に読める。
いろいろと参考になりました。まだまだ、良い音のする文章はかけそうもないけど…

2025年4月16日

読書状況 読み終わった [2025年4月4日]
カテゴリ 随筆・エッセイ

発表時に試し読みみたいなので冒頭だけ読んでいて、ずっと気になっていたが、ようやく読んだ。
日常の中に、心の中にある闇、現実の中でのちょっとした違和感から通じる穴がひそみ、もう一つの世界に通じているのではないか。
いままで読んだ森見作品のなかでも、私にとっては恐ろしさを感じるものでした。

2025年3月23日

読書状況 読み終わった [2025年3月22日]
カテゴリ 小説
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