本書は自己啓発本やノウハウ本のように気持ちを奮い立たせたり、何かを明確にアドバイスしれくれる本ではない。この点であらぬ期待を持って読んだ場合は、ギャップを感じ面白さを読み取れない可能性が高いので注意が必要。
本書が読者に唯一教えてくれることは、「社会は相反する考え方を持つ者どうしで形成されている」ということのみである。そして、自身が考えるべきことは「そんな社会で自分が生きるために必要な正義とは何か」であり、自身が考える際に必要な事例が高い質で書かれている本である。
一部繰り返しとなるところもあるが、哲学者とは「自らが何らかの解を出すのではなく、解を出すための道筋をわかりやすく示し相手に深く考えさせる手段だけを述べる」ことだと私は思っているので、その観点から著者は立派な哲学者の一人と考える。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
哲学
- 感想投稿日 : 2012年1月24日
- 読了日 : 2012年1月24日
- 本棚登録日 : 2011年12月11日
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