著者得意の山岳ミステリー小説。主人公は亡くなった父の跡を継いで山岳写真家を目指す30代独身男性、風間。風間は冬山登山中、絶滅したはずのエゾオオカミを単独で探す世捨て人、田沢と出会う。
その田沢は過去、風間の父親と交流があり、その後、殺人を犯して服役、出所したばかりだった。さらに、その殺人を冤罪と信じる訳ありな老刑事も登場。
過去の殺人事件が冤罪であったのか。そんな謎解きを軸に、人間の身勝手な行いによって絶滅したエゾオオカミの歴史を辿り、人間と自然との調和を作者は訴える。
正直言って、作者の社会性メッセージが強すぎて、ミステリーとしての面白さは薄い。主人公が登山ばかりに夢中なのはいいけど、その行動が事件解決に直接結びつかない。主人公が長電話をするたびに事件の真相が明らかになるという他力本願捜査。最後の締めは予期せぬ感動動物ドラマ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2017年8月22日
- 読了日 : 2017年8月22日
- 本棚登録日 : 2017年8月22日
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