無縁旅人 (文春文庫)

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レビュー : 4
著者 :
oooba3さん 警察小説   読み終わった 

人がたくさん集まる都会。
周りを多くの人が行きかい、喧騒にあふれ、
活気ある都会に生きても、寂しい。

いや、人が多くいればいるほど寂しさは増す。

隣を歩いている人、座っている人は家族でも、友人でもなく「単なる人」。

挨拶を交わすわけでも、心を通わすわけでもない。

「単なる人」ばかりの中では余計に、「独りぼっち」という感覚が際立つ。

十六歳の少女が、他人のアパートの一室で死体となって発見された。

遺留品の中に、ネットカフェの会員証があり、捜査から、片桐舞子という名と、静岡の施設を逃げ出したことが
判明する。

十六歳の少女に何があったのか。

他人の部屋で、なぜ殺されなければならなかったのか。

「贄の夜会」に続く、大河内ら捜一の刑事の活躍を描いた作品。

続編とも言えそうだが、色合いはまったく別物である。

スリル、サスペンスに満ち溢れた前作に比べ、ここには殺し屋やヤクザのようなとんがった世界はなく、一つの殺人事件の地道な捜査が淡々と行われていく。

人は自分のためではなく、誰かのために生きられるときにこそ、孤独でなくなる。

淡々とした捜査を通して、若者が背負わされた悲しみが描かれる。

孤独ではありながら、明日を生きようとしていた舞子、
その舞子の明日を奪った人間を、刑事たちが追い詰めていく。

レビュー投稿日
2018年8月11日
読了日
-
本棚登録日
2018年8月11日
0
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