亡き子へ 死別の悲しみを超えて綴るいのちへの証言

  • 岩波書店 (2001年6月25日発売)
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感想 : 1
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わが子を亡くした親たちが、どれほどの痛みに耐えて生き続けているか。
ありふれた安っぽい激励や慰めの言葉に、どれだけ傷ついているか。
わが命を賭けても守りたいわが子の「死」という現実に直面し、それでも生き続ける親の苦しみは、経験しない人が容易に理解できるものではない。
「あなたの気持ちはよくわかる」は、もっとも無礼な言葉だ。
「頑張って」「早く立ち直って」「泣いているとお子さんが成仏できないわよ」
そのような安易な声かけが、どれほど空虚に響くことか。
ひっそりと身を寄せ合って生き抜こうとする親の姿に、人間の究極の力を感じる。そして、そっと見守り続けてきた著者の控えめなまなざしは、どこまでも温かく穏やかだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生と死
感想投稿日 : 2012年6月19日
読了日 : 2010年2月15日
本棚登録日 : 2010年2月15日

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